全米で「今年いちばん衝撃的な映画体験」と言われているドキュメンタリーがあります。2026年10月16日に全米で拡大公開された『You Can See Everything(原題)』。セラノス創業者エリザベス・ホームズを3年間にわたって追ったこの作品が、Rotten Tomatoesで批評家支持率100%という異例のスコアを叩き出し、SNSを中心に大きな話題になっています。
どんな映画?ネイサン・フィールダーが撮った3年間
監督を務めたのは、コメディアンのネイサン・フィールダーと、ドキュメンタリー作家のランス・オッペンハイム。配給はA24です。撮影は、ホームズが詐欺罪で有罪判決を受け、連邦刑務所に出頭するわずか34日前から始まりました。パートナーのビリー・エヴァンス氏や2人の子どもも撮影に同席し、少人数のクルーがサンディエゴの自宅に招き入れられたといいます。当初は著名なシリコンバレー人物の親密な肖像として始まった企画は、再現ドラマや予想外の展開を交えながら、上映時間174分(約3時間)という異例のスケールの作品へと発展しました。
テルライド映画祭での「秘密の上映会」
本作は、テルライド映画祭で世界初上映されましたが、タイトルも内容も直前まで一切公表されない「シークレット上映」として行われました。会場では観客の携帯電話などの電子機器がすべて回収され、上映後のQ&Aはエマ・ストーンが司会を務めるという異例の演出。この話題性も、公開前から注目度を押し上げる要因になりました。
批評家が絶賛する理由
Rotten Tomatoesの批評家スコアは76件のレビューに基づき100%、観客スコアも99%。Metacriticも31件のレビューで98点と、「universal acclaim(普遍的な絶賛)」の評価区分に入っています。Vultureのアリソン・ウィルモアは本作を「今年を代表する映画」と評し、Rolling Stoneのデイビッド・ファー氏も「unabashedly brilliant(臆面もなく見事)」と絶賛。Deadlineのピート・ハモンド氏は「被写体への踏み込み方がこれまで見たどのドキュメンタリーとも違う」と評しています。一方で、約3時間という長尺や、フィールダー流のホームズへの接し方に戸惑いを示す声もあり、好みが分かれる作品であることも事実です。
興行成績は堅調な滑り出し
公開初週末は855館規模の拡大公開で、興収は約1,560万ドル、1館あたりの平均は約1万8,247ドルと、ドキュメンタリー映画としては高水準の滑り出しを見せました。公開から数日で国内興収は1,800万ドルを超えています。大作アクションのようなスケールではないものの、口コミとレビューの評判が興行を押し上げている典型的な例と言えそうです。
エリザベス・ホームズとは
エリザベス・ホームズは、血液検査スタートアップ「セラノス」の創業者。一滴の血液で多数の検査ができると謳い、一時は企業価値90億ドルとも言われましたが、技術が実際には機能していなかったことが発覚し、投資家や患者を欺いた詐欺罪で有罪判決を受けました。本作は、その収監直前という極めて限られたタイミングにカメラが入った、異例のドキュメンタリーということになります。
日本での公開は?
本稿の時点では、日本国内での劇場公開や配信時期は正式に発表されていません。A24作品は近年、劇場公開後に配信展開されるケースが多く、今後の続報が待たれます。上映時間が長めの作品なので、鑑賞を予定している方は時間に余裕を持ったスケジュールがおすすめです。


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