野良犬の値段 読みました!(ネタバレ)
百田尚樹さんの小説 野良犬の値段 読みました。
百田さんの本では、やはり 永遠の0、海賊とよばれた男 が好きです。
他に、モンスターも読みました。
こちらもおすすめです。
さて、今回は、百田さんがとうとうミステリーを書いたということで話題の「野良犬の値段」を読みました。
6人のホームレスが誘拐され、関係のない大手メディア会社に身代金を要求します。
命の価値は、人それぞれ変わるのでしょうか?
世論は、どのように命の価値を評価するのでしょうか?
という疑問とともに、メディアに対する疑問やSNSにハマりすぎないようにというメッセージも感じました。
突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。
<私たちが誘拐したのは以下の人物です>
という文言とともにサイトで公開されたのは、
6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。
果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。
そして写真の男たちは何者なのか。
半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、
誘拐サイトは“驚くべき相手”に身代金を要求する――。
日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける!
SNSで繰り広げられる
ツイッターにハマった定食屋の店員、佐野光一のシーンからストーリーが始まります。
現代的な感じがします。
そして、早速、誘拐撃が繰り広げられるウェブサイトを発見します。
第一発見者として、佐野は、注目を浴びるようになります。
ツイートで注目を浴びたいという現代にありがちな心理が、犯人に利用され、少しだけ巻き込まれてしまいます。
警察官の玉岡勝もツイッターをよくチェックしていて、いち早くこの事件に気づくことができました。
警察としても今のSNSによる情報の流れを無視はできないかもしれないですね。
しかも、犯人はウェブサイトを海外に構築し、いくつものルートを経由して操作しているようで、ITにも詳しそうです。
テレビ局関係者や週刊誌や新聞社の記者内でも徐々に誘拐サイトが、話題となり始めていきます。
実際に、どの段階でニュースや記事にするかは難しいところですね。
警察もどの段階でどのような犯罪として扱うのかと思いましたが、基本、事件性が確実になったり、被害届が出ないと動かないらしいです。
野良犬の値段
誘拐の内容が徐々に明らかになります。
6名の年配の男性が、誘拐されたようで、写真が公開されます。
皆、無精ひげで髪の毛がボサボサで、長髪で、服もよれよれです。
誘拐された6名は、どうやらホームレスの人達のようです。
野良犬の値段というのは、ホームレスの身代金ということのようです。
写真が公開されたことで、周りが動き始めます。
警察は、ウェブサイトの特定をはじめました。
大和テレビは、一番最初に誘拐サイトを番組で取り上げました。
東光新聞も6名の特定を始めます。
さすがの警察は、免許情報などと照合し、早くも6人中、5名をわりだしました。
さすが、警察!
ツイッターで、誘拐サイトを最初に見つけた佐野光一は、その後も誘拐犯側の立場でツイートを続け、そして、なぜかツイートしたことが現実となります。
フォローワー数が増えて、自分がすごいという錯覚に陥ってしまいます。
最終的に、警察につかまって、仕事も失うのですが、悲しい若者の一人です。。
そして、とうとう実験の内容が、明らかになります。
身代金をメディア4社に要求しました。
- 大和テレビ 8億円
- 東光新聞 7億円
- JHK 3億円
- 常日新聞 2億円
これは、面白いですね。
メディア各社は、身代金を支払う義務は全くありません。
もう、世論がどのように反応するのかと、メディアがそれを気にするかどうかです。
東光新聞と大和テレビから被害届が出て、警察も本格的な捜査をするようになります。
常日新聞
そして、この誘拐事件は、注目を浴びていきます。
ツイッターでトレンド1位、テレビでも報道されるようになります。
最初、身代金を要求された各社の態度は、断固支払わないというものでした。
こういった成功例をつくってしまうと後の犯罪にも繋がりかねません。
納得の対応です。
常日新聞に名指しで3日以内にお金を払わないと人質を1名殺害するという声明が発表されました。
常日新聞は、要求に従わないと返事をしました。
テレビ番組でとったアンケートでは、92.7%が「支持する」としていました。
ツイッター上のアンケートには、「どちらともいえない」という選択肢があり、78%が、「支持をする」という結果でした。
この常日新聞の返事のあと、犯人が再度検討を申し入れたところ、数字が変化します。
ツイッター上のアンケートで、「支持する」が、71%に減ってしまいました。
これは、世論の、人質に死んでほしくないという気持ちが、反映されたのかもしれません。
常日新聞は、メディアの使命ということもあり、態度を揺るがしません。
結果、人質が1人殺されてしまいました。
本当に殺されてしまったことには、少し驚きました。
なんとなく6名が自作自演の仲間ではないかと思い始めていただからです。
しかも、殺されてしまったのは、中心人物ではないかと思っていた”仏の松下さん”です。
ありゃりゃ
人質が死んでしまったことで、世論が動きはじめ、常日新聞も非難されます。
売上も身代金以上に、下がってしまいました。
JHK
次に、ターゲットとなったのはJHKです。
JHKも犯人に身代金を払うことは、犯人に加担することだとし、要求に一切応じないことを会長自ら発表しました。
これは、犯人側からすると予想通りだったようです。
ここから、ストーリーは、犯人側の視点で進んでいきます。
やはり、誘拐犯は、ホームレスたちで自作自演でした。
松下さんは、末期がんで、すでに死ぬ運命にあり、それを利用していたのでした。
しかし、それでも殺すのには、ためらいがあったことは確かでした。
そして、東光新聞と大和テレビが、本命のターゲットだとわかります。
身代金の額も全然ちがいますね!
誘拐された6人のうち、身元不明の1人は、松下さんの娘を殺し、人生を狂わせた犯人でした。
つまり、殺害要員だったのです。
JHKが、要求に従わなかったという理由で殺害されますが、これは、計画的な復讐でもありました。
松下さんの恨みを晴らすべく、殺害されます。
残った4名は、死なずに、恨みのある東光新聞と大和テレビから、お金を奪う計画です。
緻密な計画です。
JHKは、避難をあび、受信料払わないという人が増え、70億円くらいの損失が見込まれてしまいます。
これは、払っておけばよかったとは言えず、難しい局面でしたね。。
本命のターゲット
そして、本命のターゲットである東光新聞と大和テレビを指名して身代金が要求されます。
世論の動きも身代金支払いに従わないことが、完全に肯定されていない難しい状況です。
そして、要求に応じなかったことで、損失を受けている前例もすでにあります。
それが、犯人の狙いでした。
2社も対応に困ってしまいます。
そして、そこで、裏取引が展開されます。
うまい手口だなぁ〜
表向きは、応じない態度を示しつつも、悩んだ末に、両社が、裏取引の要求に応じます。
その裏では、警察が犯人に近づきつつあり、ハラハラする展開です!
と思いきや、これも犯人の計画でした。
警察が、居場所を特定したので、犯人は逃げた、そして、誘拐された残りの4名を助けたというシナリオです。
そして、裏取引に応じた2社は、お咎めなしということでした。
ターゲットじゃない最初の2社の方が被害が大きかった気がしないでもないですが。。
感想
人の命の重さってなんだろうというのと、メディアあまり信じちゃいけないなというのと、SNSあまりハマり過ぎちゃいけないなと考えさせられる一冊でした。
不運が重なると自分もホームレスになるかどうなるかは、わかりません。
怖いですね〜
誘拐サイトを取り上げたテレビが、説得力を高めるために大学教授を採用しようとするシーンが印象的でした。
テレビに出たい大学教授はたくさんいて、適当にテレビ局のシナリオにそって、それらしいコメントするという部分ですが、有り得そうな話だと思いました。
人が飛びつくようなことは、ニュースにしては、その後どうなったのか、結果を取り上げないのも、とても感じていたことでした。
(高井田さんの飲食店が、O157で子供が死んだことの疑いで責められ、店を閉じたが、実は家でのアレルギーが原因だった下り)
そして、単純に復讐劇で、面白かったです。
急なチームだった割には、計画的で知的なシナリオだったと感心しました。
人選びは、大事ですね。
見つからないようにトイレを経由したり、新聞を近くで買わなかったり、ホームレスを何人か襲ったり、カモフラージュにスキがありません。
あと、将棋の読みって、すごいなというのも感じました^^;
松下さんの病気、復習相手、シナリオが、うまく絡み合って、やりきった感じでした!
ありがとうございました!
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